善意・献身・熱意・信念

上手くまとまらなかったので上げるか悩みましたが、せっかく書いたので…

ファミ通内コラム「吉田の日々赤裸々。」#131 『盟友』
吉田直樹…スクウェア・エニックスの執行役員・第3開発事業本部部長・『FF14』プロデューサー兼ディレクター

最初に簡単に内容をまとめてしまうと…
プレイヤーがゲームに飽きてくるように、運営側も「コンテンツを作り続ける事への飽き・疲れ」と「プロジェクトに縛られ続けるフラストレーション」を感じ始める。
その中で、コンテンツをより良いモノにしていくというのは、スタッフの善意や献身によって支えられていく。
長年プレイし続けてくれるプレイヤー、尽力してくれるスタッフ、配信を見てくれている人など含め、『FF14』に関わるすべての人が「盟友」である。
というような内容。


長年続くゲームで起こる事
・新規プレイヤーが参入しにくくなる
・新鮮味が減る
・収益も右肩下がり
・古いゲームというレッテルを貼られる

これは、どんなエンターテインメントでも避けられない運命にある。
なので、盛り上がっている内に出来る事はしっかりとやっておく事が大事。
ある意味、人間と同じだよなぁ、どれだけ上手く年老いていくかみたいな。
若いのに老けて見えるか、高齢なのに若く見えるか、どれも努力とか考え方次第。


運営にも飽きが来る
「ソシャゲ」・「MMORPG」・「アケゲ」・「e-sportsタイトル」など、5年以上運営を続ける事が当たり前となってきているのがゲーム業界ですが、そこの運営開発スタッフになった気持ちで考えてみると分かると思う。
それは、クリエイター・エンジニアとしての技量・技術をあまり発揮しないまま何年も同じプロジェクトに縛られてしまう事。
プレイヤーが飽きを感じ始めコミュニティが縮小すると同時に運営内でも同じような事が起こる。
その先は、運営スタッフの善意や献身によって支えていく事になるが、殆どの場合はやはり最先端の技術を使った大きなプロジェクトや違うジャンルのプロジェクトに関わりたいと考えるのが当たり前だと思う。


市場の地位
アケゲの対戦ゲームで考えると、今の時代では徐々に注目度は薄れ、市場の地位というのは元々そこまで高くなかった所、もっと下がってきているだろうと予想出来る。
市場の地位が上がらなければ、アケゲに関わりたいという人は増える事はなく、結局はその人個人の善意・献身・信念に頼る事になる。
なので、市場での地位を向上させる事がかなり重要と言える。
市場の地位が上がれば、モチベの高い開発者が増え、よりゲームの品質は上がるし予算も増えるだろう。
ただ、個人的に思うのはアケゲの市場地位が上がる事は恐らくもう無理。


「LOV3で考える」
開発期間から考えると、5年以上も丹沢P率いるチームは『LOV3』に献身してきたと言え、『LOV4』に変わるタイミングで運営が完全に一新されても不思議な事ではなかったのです、つまり『LOV4』の寿命をどう延ばすかというのはあくまでも平田Pや運営チーフやプロジェクトマネージャーの力量次第だったという事です。
そこで、『LOV』シリーズのために献身しようと考えられたスタッフや主要クリエイターはどれだけ居たのだろうか?、恐らくそこまで居ない。
丹沢Pは、『LOV3』にかなり献身してきたと言えると思う、大規模なイベント・大会、有名IPとのコラボなどを多数行い、『LOV』と「アケゲ市場」を大きくアピールしてみせた、が『LOV』シリーズ対して”愛"が感じられたかというと、そうではなかったと思う。
丹沢Pが後継者に選んだ平田Pはそれ以前の問題であり、何を思い描いていたのかさえ分からないし、シリーズプロデューサーである筈の柴Pも何を考えているか分からない。
一番LOVに対して献身し続けていたのは浅尾Dだろうと思うが、浅尾Dはスクエニの人間ではない時点で行える事に限りがある。


LOV4に早期終了で感じた事
・計画性のなさ
・ユーザーの意見は聞き入れないという固い意志
・そもそも最初からLOV3ほど長く続けるような計画ではなかった可能性
・開発・運営スタッフから感じ取れる情報が殆どなく、熱意がないと思えてしまう
・スクエニの有力IPに対する軽視(今に始まった事ではないが)➡コンテンツを総合的に観察して判断するような人がいない

『LOV4』のコンセプトの全体的な失敗
➡LOV3のカードを使用不可にしてしまった事…複雑化しすぎたゲーム内容の緩和との事だったが、必要なかったのではないのか?
➡マルチメディア展開という曖昧な行動…根本的なプランミス
➡新世界観…LOV3の世界観をそのまま拡張させていく方がよかった気がする
この上記3つの事をせず、降魔を廃止しPSY要素とアルティメットレイドだけを追加させた『LOV4』が稼働する世界線へ行きたい。
どうせなら『LOVA』も成功した世界線がいいな!w

予算の削減と使い方
➡第7ディビジョンにおける大型新作『星と翼のパラドクス』を開発していた
➡『LOV3』ほどのヒットは無理
この2点により、予算的には『LOV3』より少なかったのは間違いないと思う。
その中で、アニメ化はヤバすぎたし、そもそも最初からLOV3ほど長く続けるような計画ではなかった可能性が高い。

まともな大会すら計画出来ない状態が前作から続いていた
どんな理由があるにせよ、対戦ゲームにおいて大会は必要不可欠な存在だ。
しかし、それが収益に繋がらないのであれば、大会(トーナメントシーン)は企業にとって負債となってしまう。それはポリポリクラブで丹沢Pが語っており、結局はその時点でLOV3から続いてたゲーム性は失敗だったと決定付けていたと感じる。

『LOV』に熱意を注げるスタッフの数
9周年のイベントの時に、柴P・丹沢Pは「10周年には色々やりたいし、その時にまた皆さんと会えるのを楽しみにしている」と語っているのに、2018年では大きなイベントがなかっただけでなく、誰一人として表舞台に出てきてないし何も発信していない、追い打ちとしてLOVシリーズ通してのゲームデザイナー横山氏も開発から離れてしまったという事だけ見ても、ヤバさが感じられる。
スクエニ内に『LOV』シリーズに対して献身したいと考えるスタッフがあまりおらず、『LOV』シリーズのポテンシャルを信じる事が出来ていないのではないか?
それが総合的に力不足の運営に繋がった。