それは、FF14のプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹さんのコラム「日々赤裸々」です。
ご自身のゲームの内容に触れる回もあれば、ゲーム業界全体に触れる回もあります。
年始の企画記事内で2016年のゲーム業界について聞かれた際に、「混沌」と答えていたのが印象的でした。
※ファンド…複数の投資家から集めた資金を用いて投資を行いそのリターンを分配する仕組み
その内容を簡単にまとめて紹介しようと思う。
かつては宣伝費を入れても1億円以下もしくは数億円で済む事が多かったが、ドンドンと高騰していった。
現在では、HDゲームなら開発費50億円の宣伝入れて100億円近くになるタイトルも珍しくなくなった。
例えば最近発売日が発表されたFF15では、世界で1000万本売り上げを目標としているように、メガヒット作を作り上げないと回収するのが難しいとされる、なので大作タイトル開発に10年近く掛かるっていうのは何も不思議ではない状況なのかもしれないが…。
技術職と認められるようになり、単純に人件費が大きく上がった。
例えばスクエニでゲーム開発に関わっている人なら、人並み以上に給料は貰えているのは間違いないとの事。
とにかく時間と手間が掛かる工程であり、人×時間のセットが大量に必要となるのでやはり人件費が高騰する。
「もっと大作を作って、世の中に見せたい」と思っても開発費を計算した所で断念するくらいシビアになっている。
これは良いとか悪いとかではなく、日本のゲーム業界が直面している実情。
「大金を掛けてでも売れるゲームを作ればいいじゃない」と思うかもしれないが、莫大なお金をゲーム会社単独で投資するにはリスクが高すぎる。
一発狙って、外したら倒産では、流石にどの会社も慎重にならざるを得ない。
確かに日本市場でのコンシューマタイトルの販売数は年々減少しているが、自分たちがゲームを作らなければ結局市場が活性化しないので、この現状はとても苦しい。
ゲームに投資する企業や投資家が圧倒的に多い。
テクノロジーや発想に秀でた数人のグループが考えたゲームに惜しみなく数十億円の投資をする。
その代わりに、少しでも開発が遅れたり、予定がズレたりすれば即契約破棄となるくらい徹底されている。
と、このようにゲーム産業以外にもエンタメに資金を投資する企業も個人も圧倒的に多いのがアメリカ。
格差が叫ばれているだけあって、お金持ちの数も所有しているお金の額も桁違いなのである。
映画と同じようにHDゲームもすでに投資なくしては成り立たないくらいスケールが大きくなったとも言える。
ようやく映画にそういう流れが出始めたかな程度で、ゲームにその流れが来るのはあと10年近く要すると思われる。
もし、マンガ・アニメ・ゲームが日本の文化であるというのなら、国が主体となるファンドがあってもいいのにと思う今日この頃。
資金提供ではなくファンド、成功すれば利益を戻すという仕組み。
正直、日本のコンソールゲーム産業は、かなりの瀬戸際だと思う。
SCE、スマホゲーム市場に本格参入へ--新会社「フォワードワークス」を設立 - CNET Japan
株式会社カプコン | モバイル事業の組織を刷新し、自社コンテンツを活用したタイトルを積極的に投入!どこかで資金を大きく増やす動きをしなければならない、そうなった時にゲーム業界で一番確率が高い方法は、やはり圧倒的に普及率が高く身近にあるプラットフォームのスマートデバイス用のタイトルの開発という事になる。
という事で、ここから更に本格的に参入してくる大手企業もありそうですし、少人数精鋭のインディーデベロッパーも侮れない状況になってきていると思います。
モバイル業界は更に大きく、そして群雄割拠になっていくだろうけど、それにより家庭用で出すジャンルは、より悩ましくなり、クオリティの基準も上がっていき…という現状のゲーム業界の流れ的に「混沌」という事でしょうか。
大ヒット「モンスト」生みの親、借金2ケタ億円でゲーム業界から消えていた過去とドン底人生 | ビジネスジャーナル
金なし、開発たった7人…期待ゼロだった「モンスト」、なぜ驚異的ヒット? | ビジネスジャーナル上で紹介したコラムの内容が、多く触れられていて興味深いですが…かなり壮絶です。
➥最後に
今日発売のファミ通には、自分の好きなコラムのコーナーはなかったですが、FF15のディレクターへのロングインタビューがかなり興味深い内容でした。
そのダイジェスト版(ファミ通本誌の一部抜粋版)
『ファイナルファンタジーXV』ファミ通.com 特設サイト 『FFXV』のプロジェクトについて田畑端氏と野末武志氏を直撃! 「もう一度、『FF』が勝つ姿を見せたい」【ダイジェスト版】(インタビュー)現状のゲーム開発内部がどうなっているのか、「FF」という有力IPですら感じる危機感…そして現場を統率する人物の重要性。